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昨年の出来事

新年明けましておめでとうございます。

麒麟会は理事会の新年のご挨拶にもありましたように、今年は更なる地域貢献を目標に自組織の事業を確実に

拡大して行きたいと思っております。

昨年私たちは、長年訪問していた患者A様との別れを経験しました。

かれこれ5年近く診療、訪問看護に行っていた患者様が突然旅立たれたのです。

初めてAさんに出会った時、「ご気分はいかがですか?」とお声をかけた時、「気分なんか良くない。あんたに会ったら

余計気分が悪くなった」と文字盤で話されたことが昨日のように思い出されます。

それから私たちは週3回の訪問を通じ、時には「死にたい」と子供のように泣きじゃくるAさんの傍らで、何もできない自分になんとも言いようのない

無力感を感じ一緒に泣いた日々、関心のあるニュースが入ると「文字盤!文字盤!」と大きな目で話したいとアピールする姿。

幾度となく繰り返す春夏秋冬の中、辛酸、笑い、連帯感を一緒に経験しましたね。

一番印象的だったのは、Aさんがいい加減と感じる仕事をするヘルパー、看護師には容赦なく「それでもプロか!」と大きな目を更に

大きくし、怒る姿でした。「昨日もヘルパーさん看護師さんに言ったのよ」と話すご家族の困ったお顔をよそに私は、「Aさんは自分の仕事に誇りと

プライドを持ち、自分を磨いてこられた方なんだろうな。だから自分の仕事を大切にプロという意識をもって実践しない人が許せないんだろうな」と

密かに思い、そんなAさんを敬愛していました。

どんなに厳しいことを言っても、Aさんがニコッと笑うと、周囲の人は和んでしまう。そんな笑顔を武器に、苦痛と隣り合わせでありながら、

日々動けない自分と戦いながら在宅療養を過ごしていましたね。

旅立つ少し前に、訪問した担当看護師に「ヘルパーさん全員が緊急時にアンビューバックを使用できるよう指導して欲しい。これは信頼している

キリン会若葉訪問看護ステーションの看護師さんにお願いしたい」とAさんが話したそうです。担当看護師は、日頃のAさんの仕事に対する厳格さを

知っていましたから、Aさんの思いに応えるべく、当時彼女が出来る精一杯の準備を行い、ヘルパーさんひとりひとりに指導を開始しました。

今から思えば、自分の最後を見越した言動であったような気がしてなりません。

Aさんの訪問が終了して早数ヶ月が経ちました。

患者様とのお別れを幾度となく経験してはいますが、お別れに慣れることはできそうにありません。

いつも思うのですが、それぞれの患者様から学んだことは私たち看護師の「血や肉」言い換えれば「経験知」となり、

これから出会う患者様に活かされることになります。Aさんの笑顔を見ることは残念ながらもう出来ませんが、私たちの看護の中でAさんは

今も息づいています。

今年も多くの出会いと別れが私たちを待っています。

いつかまたAさんに会った時に「プロフェッショナルとして患者様に看護を提供したよ」と胸を張って言えるような看護を、キリン会若葉訪問

看護ステーション職員全員が実践できるよう今年も精進してまいります。

天国から見ていてね。

 

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